後 日 談 “I love you.”
「…なんか騙されたような気がする」
「おやルーク。どうしてです?」
「つまりジェイドは最初っから、俺がどうするかわかってたんだろ?」
「わかっていたんじゃありませんよ。そうだろうなと思っていただけです」
「…俺なんでこんな奴好きになったんだろう」
「さてねえ。それは私のほうが聞きたい台詞ですね」
「つうかジェイドがおれの婚約者だってのが信じられねえ」
「酷い言い草ですね」
「前なんかあんなに嫌われてたのにさ。…まあ、あれは俺が悪いんだけど」
「あんまり後ろ向き思考になったらキスしますよ」
「んなっ」
「…たかがキス一つでそこまで嫌がらなくてもいいじゃありませんか」
「嫌なわけじゃねーよっ」
「ならなんだと言うんです」
「え、いや、それはその」
「わからない人ですね。…ルーク?」
「…な、何だよ」
「こっちにいらっしゃい」
「…嫌だ」
「私の言うことが聞けないんですか?」
「今そっちに行ったら絶対なんかされそうな気がするから嫌だ」
「…あと十秒以内に来ないとお仕置きですよ」
「い、行きます! ごめんなさい今行きます!」
「最初からおとなしくそうしていればいいんです」
「…ジェイド、横暴だ」
「おや、どこでそんな言葉を覚えてきたんですか」
「…お前は俺をいつまで馬鹿だと思ってるんだ」
「馬鹿だとは思っていませんよ。子供だとは思っていますが」
「そんなだからアッシュにロリコンって言われるんだぞ」
「おや。ならさしずめあなたはファザコンですか」
「何でそうなるんだよ?!」
「…しかしアッシュもあれほど嫌そうな顔をしなくてもよさそうなものですがね」
「…俺には何となくあいつの気持ちがわかるような気がするよ」
「おや、そうですか」
「まあ何はともあれ、来年になったらあいつもナタリアと結婚になるんだし。どんな王様になるんだろうな」
「さて。少なくともあなたが玉座につくよりは簡単に想像がつきそうなものですが」
「…悔しいけど、俺もそう思うよ」
「…バチカルに帰りたいですか?」
「まあ、二人の顔は見たいけど。…別にいいや」
「なぜです?」
「だってジェイドは、こっちにしかいないから」
「いやあ、私も愛されてますねえ」
「なっ…おまえこそ、俺がバチカルに帰ってもいいのかよ?」
「構いませんよ」
「え…」
「そうしたらキムラスカ駐在大使になって、バチカルに居座るだけですから。…ルーク?」
「…お前、ほんっとに…」
「何ですか?」
「…何でもねーよ!」
「顔が真っ赤ですよ、ルーク」
「ああもうほっとけ!」
「ルーク」
「…なんだよ」
「勝手に、私の前からいなくならないでくださいね。探すのが大変ですから」
「…わーったよ」

「「…」」

「…あいつらがジェイドの執務室でいちゃついてるのは、俺があそこに入れないようにするための策略か?」
「知りませんよそんなの」
「ほ、報告書がもって入れない…」
「くっついたのはいいけど、あそこまで…ああなるとはちょっと思わなかったな」
「…それに関しては俺も同感です」
「あー、大臣どももとっとと結婚しろってうるさくなっちまったしさ」
「あんたもう38でしょう。真面目に後継者残すつもりあるんですか」
「何ならガイ、お前おれの養子になってみるか?」
「遠慮しときます」




2006/4/23 ジェイドとルーク…とピオニーとガイとジェイドの部下

「あなたのためなら死んでもいい」
(二葉亭四迷)

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